India Historic Spots (h5) パッタダカル Pattadakal
バーダミから約22km、バンガロールからは514kmの場所で川 (Malaprabha) の左岸に位置する。
6~8世紀、チャールキヤ朝の首都はバーダミだったが、第2の都市とし、王の戴冠式を必ずここで執り行うなど、王族が愛した地だった。
現在、公園化されているが、いくつもの寺院が残っている。
その寺院はヒンドゥー教初期の簡単な石組みの寺院からチャールキア全盛期のものまで並んでいるので、ヒンドゥー建築の成熟経過を見ることができ、さしずめ寺院博物館のようだ。全盛期の中世寺院は北方型(丸みをおびた砲弾型シカラ)南方型(ビラミッド型シカラ)が未分化だったため、混在している。
王国の繁栄、勢力の南方への拡大にともない、最盛期の規模の大きい寺院は南方型が多く、カンチープラムのパッラヴァ朝の建築家の影響が強く、のちのエローラ石窟 (Ellora Caves) 寺院のカイラーサナータ寺院 (Kailasanatha Temple) へとつながる。
また、小さい寺院で聖室から北方型シカラが立ち上がっている寺院は北インドや西インドの雄大なシカラへとつながっているそうだ。
ここにあるのは全てシヴァ寺院。
1987年「パッタダカルの建造物群」はユネスコ世界遺産の文化遺産に登録された。
右)世界遺産の碑。ほとんど文字も見えないほど風化していた。登録されてから25年以上経過しているので、しかたないのかも。
●ヴィルパークシャ寺院 (Virupaksha Temple)
一番大きなこの寺院はここに寺院群の一番奥、南に位置している。
第8代王ヴィクラマディティヤ2世(Vikramaditya Ⅱ)がパッラヴァ朝 (Pallava)との戦に圧勝したのを記念して、ローカ・マハーデ-ヴィ王妃 (Lokamahadevi)が建立した寺院。
この寺院は、制圧したパッラヴァ朝から連れてきた建築家グンダにより築かれ、カイラーサナータ寺院を模している。
生きている寺院というより今も生かされている寺院。ナンディも新しく堂を造って置かれているが、東の門扉の外、川沿いに昔の石の大きなナンディ像が残っていた。形は風化して変形しているけど、こっちの方がとってもステキ。全体的に南方型。
左、右)北側から前景をみる。
左)新しいナンディ堂。右)聖室を外から。
左)新しいナンディ像。右)南の門扉の外に置かれた古い昔のナンディ像。
左)石柱に描かれたヒンドゥー教の経典「ラーマーヤナ」。右)入口に彫られたヤクシャ像。
左)寺院西の隅に植えられたビルワ(Bilwa)の樹。葉が三叉に分岐しているので、シヴァ神の持ち物の三叉戟(さんさげき)と呼ばれるトリシューラ(Trishula)をイメージするとしてシヴァ神信仰で大切にされる樹。右)南の門扉側から寺院を見る。
●マリカールジュナ寺院 (Mallikarjuna)
この寺院はヴィクラマディティヤの第二王妃 (Trilokyamahadevi) によって建てられた。
同じ建築家によるので、ヴィルパークシャ寺院をひとわり小さくした感じの寺院。
並ぶように北東の後方に配置されている。南方型。
左)外観がヴィルパークシャ寺院にそっくり。右)ナンディ像は崩れていてよくわからない。
●カーシーヴィシュワナータ寺院 (Kashivisvanatha Temple)
マリカールジュナ寺院の横に並ぶように配置された小さな寺院。
8世紀、前チャールキア時代、最後に建てられた。南北混合型。
左)北方型のシカラ。聖室部分が南っぽい。右)ナンディ像。
●サンガメーシュワラ寺院 (Sangameshvara Temple)
パッタダカルでは一番古い寺院でヴィジャヤディティヤ(Vijayaditya)によって建てられた。
3階建の建築物で南方型。
1階には聖室と列柱廊に囲まれたマンダパが正方形で並んでいる。
左、右)側面や背面を見る。マハーバリプラムの海岸寺院のピラミッド型シカラにそっくり。
●ガラガナータ寺院 (Galganatha temple)
この寺院は北方型。アンダカ(Andhaka)を殺すシヴァ神が描かれている。
(写真撮ってなかったです)
左、右)北方型の砲弾型シカラ。アーケードのような回廊がオモシロイ外観となっている。
●その他の寺院
左、右)北方型のシカラ。
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