China Race (2) - ミャオ族（Miao、苗族）
ミャオ族は今回行った貴州省をはじめ、湖南省西部、雲南省東部・南部、四川省南部、広西チワン（壮）族自治区北西部、湖北省南部、海南省南部に居住している。
中国の少数民族のなかで4番目に大きな集団である（1990年）。
モン族（Hmong）とも呼ばれ、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどにも住む民族である。
かつて支配者側は女性の服飾の色の違いによってミャオ族を
「黒苗」「白苗」「青苗」「紅苗」「花苗」のように分類していたが、
方言集団から見ると、大きく3つに分かれる。
1） 湖北西南部、湖南西部、貴州東北部の自称コ・ションの集団（紅苗に相当）、
2） 貴州東南部、広西の自称ムウの集団（黒苗に相当）、
3） 四川南部から貴州中西部、雲南にかけて広く分布する自称モンの集団（貴州中部の白苗、青苗、貴州西部、四川南部、雲南の花苗に相当）である。
1)、2) のミャオ族は主に棚田を利用した水稲耕作に従事するが、貴州や広西では林業も営んでいる。
3) の村落は散村形態で、主に山住みの畑作を営んでいる。
民族の起源については、秦漢時代の湖南省の山地民、武陵蛮とする説が有力だが、さらに東の平原地に故郷があったとする口頭伝承をミャオは持っている。
明清代には、重税と漢族の進出に伴う失地に苦しみしばしば蜂起を起こしたが、迫害と戦乱を逃れて西南中国に広く拡散し、さらに19世紀に入ると東南アジアへ南下していったようだ。
ミャオ族には非常に多くの祭礼がある。祭礼は漢族など他の民族からの影響を受けたものや、居住する地域ごとにより多少相違がしたものが存在する。
その中でも『苗年（ミャオニエン）「ミャオ族の正月」』、『吃新節（チーシンジェ）「新米を食べるお祭り」』、『爬坡節（バーポージェ）「松明祭りや若者による歌垣（うたがき）が行われる」』の３つの祭礼が名高い。
中国の苗族は他の地域ではモン族とも呼ばれる。