Indonesia Specialist (1) ワヤン クリ Wayang Kulit (The Wayang Puppet Theatre)
インドネシアのジャワ島中部ジョグジャカルタ(Yogyakarta)で行われる、人形を用いた伝統的な影絵芝居、またそれに使われる操り人形。
人形を操る人をダランと呼ぶ。
芝居はヒンズー寺院での祭りなどで行われ、インドの古代叙事詩『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』などが主な演目である。
後にイスラム教徒にストーリーを作り変えられ、その布教にも使われたらしい。
10世紀には既に演じられていたそうだ。
繊細な影絵が織り成す幻想的な芝居で、2008年にUNESCOの無形文化遺産となっている。
影絵の仕組みは白いスクリーンの裏側からライトを当てて、人形使い(ガラン)がストーリーに沿って一人で何体もの人形を操る。
劇場はガムラン(gamelan)の音楽で盛り上がる。
私がこれを見た当時は、まだ世界遺産などは関係ない時代。
鑑賞環境が整っている状態ではなかった。
場内に入る前に何人もの男の人たちがワヤン人形を制作していた。
そして、かなりホコリ臭く、薄暗い劇場に案内された。暗い場内にボ~っとオレンジ色の光を受けた大きな白いスクリーンがあった。その手前に楽器が並んで置かれていた。
場内にガムランのドラの音が響くと、白いスクリーンに不思議な形の人形が映し出された。
木琴のような鍵盤打楽器にノッて、何体もの人形が大きくなったり小さくなったり、小気味良く動きまわっていたのを今も覚えている。
左)ガムランを奏でる楽器が並んでいた。中央のスクリーンに映し出される。右)並んで座って、人形の型を切り出している。
左、中)ワヤン人形。細かい着彩が施されている。右)色付けをしている人。