India Specialist (3) - Bandhani (Tie Dye) 絞染め
ブジにお住まいの Ali Mohamed さんの工房を見学。バンダニは絞染めのことだが、“バンダナ”の語源になっているらしい。
糸をほどく作業を見せてくれた。布の両サイドから2名で力いっぱい引っ張る作業にちょっと驚いた。そして、薄い生地を2重に折った状態で絞っているため、左右対称ではあるが突起が布の左右で違うのが気になった。細かい鹿の子風の柄が中心。数年前に日本へ招待旅行をされてそこで見た大胆な一面柄を見て感激、そういった柄いきを研究中とのこと。また、色の発色から見ても化学染料が中心だが、現在、植物染料も研究しているというお話だった。技術を究めてなお研究しているという向上心に感銘。
絞る作業も見せていただいたが、日本で見られる先端を針にひっかけて固定するのではなく、指でつまむだけで絞った。すばらしい技術。
左) 息子さんと両サイドから糸をはずす作業を見せてくれた。
右) 絞り上げた染色前の布。
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絞染めは日本でも古くから行われているが、布の一部をツマミあげ糸でくくったり、縫って縛りあげて防染し、全体を染めてから糸をほどくという染色方法です。
インドは世界四大文明の1つであるインダス文明の発祥の地であり、染織においても中国と並んでもっとも発達した地域で、染織技術の宝庫といわれている。しかし、アジアモンスーン地帯に位置し、高温多湿な地域であるため、染織遺品は少なく、「絞り」の発生をインドとする考え方があるにもかかわらず語れるのは近世以降である。
インドの絞染めは、鹿の子風の巻締め紋がほとんどで、それに縫締め紋、縫締め巻上げ紋、縫い根巻き紋が少々見られる。これらは蝋引きの木綿糸を用いて堅くくくっている。極薄手のサリーの場合は布の巾を2つか4つ折りにし、さらに丈を2つ折りにして4枚から8枚に重ねた状態で少し湿り気を与えて一緒に絞る。したがって「しぼ」の立ち方が表裏するが、インドでは「しぼ」を良く伸ばして使用しているので気にしていない。
結婚式用の金糸が織り込まれた薄いシルクの布を細かく絞った物と厚手のラクダの毛を紡いで織った布に素朴に絞りをほどこした物など多彩な絞りを見ることができる。
参考:京都書院発行 染織の美 第10号「世界の絞」